使徒を選ぶ 2020年6月14日 主日礼拝

聖書 ルカによる福音書 6章12-19節

使徒という言葉にこだわったのは、パウロでした。コリントの信徒への手紙でも、ローマ信徒への手紙でも、「キリスト・イエスの使徒」として自分を紹介しています。それほどまでに使徒という言葉に特別の意味を持ってきたのは、初代教会が動き出してからであったようです。4つの福音書の中で、この使徒と言う言葉を普通の弟子とは区別して使っているのは、ルカよる福音書と使徒言行録だけのようです。ですから、十二人を弟子たちの中から選んで、宣教と癒しの業を委託することになったことは、著者ルカにとって大きな意味を持っていた様子です。

使徒とは、ギリシャ語で「派遣された者」と言う意味を持ち、初代教会において、この世に遣わされた主イエスが直々に選んでくださったことの重さを感じます。なぜなら、この新しい教えがキリスト・イエスから受け取った真正な福音であるかどうかを吟味できるのは、直接主イエスの言動に触れた人たちでしかないと思っていた部分を感じるのです。

この箇所に名前が記された一人ひとりが、どんな背景を持った人なのか、聖書からはほんの少しの情報しか得ることができません。しかし注目すべきは、選ぶ前に主イエスが山に行き、夜を徹して神に祈られたことでしょう。

ルカによる福音書は、主イエスが祈る方であることを何度も記します。今回は特別に夜を徹して祈られてから、大勢の弟子の中から慎重に選んでいかれたことを思うのです。わたしたちは、もともとガリラヤ出身の漁師、取税人などから十二人を選んだ理由を見つけだすことはできませんが、最終的に主イエスが十字架にかけられたとき、誰もそこにはいなかったことを思うのです。特にイスカリオテのユダに対して、後に裏切り者となったと表現する言葉 は、著者ルカの特別に深い悲しみを感じさせる部分です。

現代に生きるすべての人々を、主イエスは迎え入れ、使徒として派遣してくださる方です。主からの招きを受けて、自らが証人として立つことの幸いを共に分かち合いたいものです。