2021年12月19日 クリスマス礼拝 大きな喜びを告げる

聖書 ルカによる福音書 2章8-20節

主イエスの誕生を最初に知らされたのは、野宿している羊飼いたちでした。彼らはその職業ゆえに、律法を守ることのできない罪人とされていて、人々から蔑まれていました。当時の宗教的判断は律法を守れるか否かに基準が置かれ、徴税人、遊女など、その職業において律法を守ることができない人々は、神の愛から除外された者とされていたのでした。さらに羊飼いの仕事は絶えず羊と共にいましたから、体から立ち上る動物の匂いからも、人々が避けて通りすぎていくような経験をしていたようです。

このような町の明かりから遠ざけられた羊飼いたちに、主の天使が現れ、主の栄光が周りを照らすのでした。「恐れるな。私は、すべての民に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町に、あなたがたのための救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。」 この言葉には「大きな喜び」が、律法によらず、民族によらないで全ての民に与えられることが語られます。また当時の社会では、ローマ皇帝を指し示す「救い主」が、あなたがたのための新たな救い主として、主メシアとして生まれることを告げているものでした。そして、その命の誕生は、羊飼いたちでも手の届く家畜小屋の中の飼い葉おけに寝かされているというのです。

2021年感染症の蔓延のために、多くの人々が不安に包まれてきました。経済的な困窮、あるいは関係性の破綻、さらに見通せない将来など、マイナス志向に陥りやすい状況が私たちの生活に影を落としています。しかし、この命の誕生の出来事を告げる天使は「恐れるな」と語ります。 なぜなら主なる神のご計画は「わたしたちの大きな喜び」であり、「わたしたちの救い主の誕生」なのです。羊飼いたちは、飼い葉おけに寝ている乳飲み子を探し当てて、天使の告げたとおりであったことを人々へと知らせていくのでした。わたしたちも、この大きな喜びを受け止めて、誰かのもとへ伝えていくものとされていきましょう。