医者を必要とするのは 2020年5月10日 主日礼拝

聖書 ルカによる福音書 5章27-31節

 

シモン・ペテロとその仲間たちに次いで、本日の箇所は、徴税人レビの召命が記されています。ルカによる福音書にはレビの他にも徴税人ザアカイ(19:1-10)など、様々な徴税人が登場してきます。徴税人とは、ローマ帝国の下で、ユダヤ人たちから徴税する仕事を委託された人を指します。彼らは決められた納税金に自分たちの必要経費を自由に加えて徴税していたので、敵のために働いて私腹を肥やしていると見られ、罪人の一人とされる職業であったようです。

主イエスは、このレビという徴税人が交通の要所にある収税所に座っているのを見て「私に従ってきなさい」と声をかけると、彼は何もかも捨てて立ち上がり従っていくのでした。そして彼は、自分の家で主イエスのために盛大な宴会を開き、自分の仲間たちを呼び、一緒の食卓に着くのでした。

当時のユダヤ社会において、食卓を共にするとは、握手をするとか、肩を抱き合う以上の親密さを現し、我々は同類、仲間という意志表明でした。これに加わろうともせずに文句をつけたのが、ファリサイ派の人々とその律法学者たちでした。ファリサイ派の人々は、自分たちを神の前に聖別された者であり、汚れから離れて生きることを大切にしていたので、罪人たちと仲間になるなど、ありえないことでした。

彼らに対して主イエスは、当時の格言をもじって「医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである」と言われたのでした。すなわち主イエスがこの世に来たのは「正しい人」と自負しているファリサイ派の人々のためではなく、罪の赦しの宣言によって悔い改めが起こされる罪人こそが救われるためであるとされたのでした。

感染症拡大予防のために、3月から教会では愛餐会など一緒に食事をすることがなくなっています。一緒に自由に語り合い、笑い合いながら食卓を共にする日が与えられるように祈りあいましょう。