聖書 申命記 26章5~9節 嶋田和幸兄
申命記26章5-9節には、出エジプトのストーリーが要約されています。エジプトで王に等しい地位にあったヨセフのもとに、ヤコブとその家族はイスラエルからエジプトへ下り、そこに定住しました。やがて国中で数を増し、強大になったイスラエルの民を恐れ、エジプト王ファラオは民に厳しい労働を課しました。ファラオによって奴隷の身となり、大きな苦難を味わったイスラエルの民は、苦しみのあまり神様に助けを求めて叫びました。その声を聞かれた神は、リーダーとしてモーセを選び出し、自らの力強い御業によってイスラエルの民をエジプトから脱出させ、解放しました。彼らは出エジプトを果たしたのです。そして彼ら、彼女たちは荒野の旅を経て、約束の地、カナンへと到達しました。しかし、イスラエルの民は、エジプトを脱出した後すぐに、目的地にたどり着いたのでしょうか?
そうではありません。イスラエルの民はエジプト脱出後、シナイの荒野で40年間、旅を続けました。40年間です!とても長いですね。どうして神様は、イスラエルの民を、すぐにカナンの地へ導かなかったのでしょうか?それは、彼ら、彼女たちが神様に従うことを学ぶためです。彼らはエジプト脱出後、困難が訪れるとすぐにモーセに不満をぶつけ、「なぜ私たちをエジプトから救い出したのか」と悪態をつく有様でした。そのようなイスラエルの民にとって、40年という期間は、神の律法を学ぶ時であったのです。彼ら、彼女たちはシナイの荒野を旅しながら、神の律法を通して、神に従って生きることを学んでいきました。
そしてここで強調したいのは、出エジプトは、私たちに神の奇跡を伝えるための、単なる物語ではない、ということです。出エジプトのストーリーには、神の救いの御わざの型、フォームが現れています。そのフォームは、歴史において繰り返し起こっているのです。