2021年12月12日 アドベント第三週 礼拝 捜して救うために

聖書 ルカによる福音書 19章1-10節

エリコと言う町にザアカイという徴税人の頭がいたといいます。聖書は彼が金持ちであったことと、背が低かったことを記します。当時の徴税人は、ユダヤ社会において忌み嫌われる職業でした。異邦人であり、支配者としてのローマ人と接触することで、宗教的に汚れていること、さらに適当な名目をつけて上乗せして徴収していると見られていました。ザアカイはその人々のまとめ役として、さらに厳しい目にさらされていたのでした。

彼は、人々のうわさ話からイエスと言う男の話を聞きます。収税所に座っている徴税人に声を掛けて弟子とし、罪人といわれる人々と共に食卓を囲んでいるといいます。ザアカイはどうしてもイエスという人を見てみたいと思うのでした。彼にとって汚れているとして差別をうけ、金持ちとして冷ややかな目にさらされ、一人も信用できる友達はいなかったのでした。まさにユダヤ社会の中で「失われたもの」となっていたのでした。しかし、当然のように群衆は彼のために道を開いてはくれません。しかたなく先回りしていちじく桑の木に登り、身を隠してイエスが通り過ぎようとするのを待ち構えるのでした。

主イエスはその場所にくると、上を見上げて言われるのです。「ザアカイ、急いで降りてきなさい。今日はあなたの家に泊まることにしている」ここで、主イエスは神からの使命、義務のような強い言葉を用いられるのです。自分の名前を呼ばれたザアカイは喜んでイエスを迎えていくのでした。

主イエスは「今日、救いがこの家を訪れた。この人もアブラハムの子なのだから、人の子は、失われたものを捜して救うために来たのである(19:10)」と、言われます。社会的な構造の中で、見失われたものとなっていたザアカイは主イエスによって捜し出され救いの道へ招かれたのです。アドベントの時期、見失われた一人ひとりの名を呼んで、救おうとされる主イエスを証する教会でありたいと願うのです。