神がしてくださったこと 2020年11月22日 主日礼拝

聖書 ルカによる福音書 8章26-39節

主イエスの「湖の向こう岸へ渡ろう」という提案で、舟をこぎ出した弟子たちは、嵐に巻き込まれ、ようやくゲラサ人の地方に到着します。 陸に上がった主イエスは、この町の者で悪霊に取りつかれている男に出合われます。彼は悪霊によって荒れ野に追いやられ、衣服を身に着けず、墓を住まいとしていたのでした。彼の口からは「構わないでくれ、頼むから苦しめないでほしい」との叫びが上がり、名前を聞かれると「レギオン」と答えるのでした。レギオンとは、ローマ帝国の軍団の名前であり、六千人もの兵隊が所属していました。彼は悪霊によって、自分の言葉で応答することもできず、本来の名前すら語ることができないのでした。

聖書に登場してくる悪霊の働きは、神と人を、人と人との関係性を断ち切ろうとし、現代社会にも確実に存在しています。 彼らは、人々に取りつき、苦しめ、人間性を失わさせていきます。それは戦いという目的のために、自由を奪い規律を重んじ、人間の尊厳や隣人愛までも踏みにじっていくのです。このような霊は滅ぼされなくてはならないのです。神の御子イエス・キリストによる救いを受け止めるときに、私たちは人間性を取り戻し、互いを認め合うという正気にかえることができるのです。

この物語の最初から最後まで読み終えたときに、主イエスの一行はたった一人のために出かけていき、さらにそこにいた人々の恐れによって追い出され、元の岸辺へと戻ってくることを思うのです。この世的な考え方であれば、実に効率の悪い、また出かけなくても良かったようにまで感じてしまう話です。しかし、別の見方をすれば、たった一人でも主イエスは神の救いを必要としている人へむかって漕ぎ出し、救い出していかれる方であることを確信を持って伝えることのできる話なのです。「神があなたにしてくださったことを、ことごとく話して聞かせなさい」という主イエスの言葉に応答するものとなりましょう。