聖書 ミカ書 5章1-3節
預言者ミカは、イザヤと同時代(BC8C)に神の言葉を預かって語っていったのでした。この時代、アッシリアによって戦いに次ぐ戦いの中で、サマリヤ陥落、ユダの滅亡、またエルサレムの崩壊を預言することは、命の危険を感じつつ語ることを意味していました。特にミカは地方在住者としての目線で、エルサレムの上流階級の人々、偽りを語る預言者たちへ、厳しい批判を展開しています。しかし、一方で神の約束としての回復が伝えられ、イスラエルを治める者の出現を預言しているのです。
この預言は、困難な時代にも関わらず伝えられ、手渡され、救い主メシアの預言とされていきます。そしてユダヤの王の誕生を知り、東方の博士たちが来訪した出来事によって見出されていくのです。不安をいだいたヘロデ王が、祭司長、律法学者に問いただした返答として、この預言が明らかにされていくのです。「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています(マタイ2:5b)
預言者ミカは、栄光の都エルサレムに対して、ベツレヘムをユダの氏族の中では最も小さな者(5:1)と語ります。この小さな者(ツァイール)と表現されている言葉は、小さい、つまらない、若い、年下、末の子など、ユダヤ社会においては決して光の当たらない、評価されない存在に用いる言葉です。しかし、聖書の語る神は、その存在をこよなく愛し、神からの使命を与えて用いようとされる方なのです。イスラエルの最初の王となるサウルは、「私はイスラエルで最も小さな部族、私の一族はその末席に連なるもの」と語り、ダビデ王は、兄弟の中で、末の子として、父エッサイから兄弟の一人にも数えられていない存在でした。
その最も小さな者とされるベツレヘムで、無防備で、力なく、小さな赤ん坊が誕生してきたことを祝うのがクリスマス、降臨祭です。すべての人類の救いのために、神の愛の結実が、この世に現れたことを、また私たちの心の中に住んでくださることを、共に喜び祝い合いましょう。