聖書 ルカによる福音書 13章18-21節(録音なし)
主イエスは、会堂の中で、安息日こそ虐げられ、束縛されている人々への解放の意味をもつと宣言されました。さらに続いて、神の国について話はじめられるのでした。当時のユダヤ教における神の国は、異邦人、すなわちイスラエルの民以外は入ることができないとされていました。さらに律法を厳しく守り、汚れを避けて生きることが求められていました。他の福音書と比べると、ルカによる福音書は、ユダヤ人だけでなく、民族を超え、律法の垣根も超えて福音が知らされていくことが強調されています。その背景には著者ルカが異邦人であること、また使徒パウロの影響が大きいことが感じられます。
主イエスは「神の国」を2つのたとえを用いて語ります。からし種は、1mm以下の小さな種ですが、成長すると大きなものは6mもの木になるのでした。この箇所を注意深く読むと、成長して木となった枝(複数)には空の鳥(複数)が巣を作るとあります。様々な種類の鳥の巣が彩る大きな木のイメージが神の国に似ていると言われるのです。そして、人は庭に蒔くだけで、からし種の持つ生命力や育つ力によって大きくなり、様々な鳥に枝を提供することになるというのです。
次のパン種は三サトン(約40L)の粉に混ぜられます。パン種は大きくなりませんが、混ぜられることによって発酵がすすみ、全体が大きくなっていきます。巨大なパンは世界中の飢えた人々へと配られていくことでしょう。女はパン種を混ぜることだけで、あとは発酵する力に任され、じっと膨らむのを待っていくのです。
この2つのたとえから現わされる「神の国」は、大きくなることを目的とするのではなく、知らないうちに大きくなって他者の必要を満たすものとして示されているのです。教会が神の国を現すものとして、知らないところで、世の光・地の塩とされているのです。わたしたちに信頼して委ねてくださった主イエスの思いを受け止めていきたいものです。