東からの訪問者 2014年5月11日 主日礼拝

聖書 マタイの福音書 2章1~12節

「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおいでになりますか。私たちは、東のほうでその方の星を見たので、拝みにまいりました。」との、突然の訪問者たちの言葉は、ヘロデ王を、恐れと混乱の中に落としていくのです。ヘロデ王は、陰謀の渦巻くローマ帝国の推薦を受け、ユダヤ王となりました。しかし、治めるべき地域は、絶えず内乱が起き、推薦したローマも、また目を離せない状況にあったのでした。西ばかりを気にする彼の予想に反して、東から、星占いの学者たちが、ユダヤ王の誕生を祝いにやってきたと言うのです。

この重要なユダヤの王の誕生を、最初に気づいたのは、律法を伝え続けたユダヤの民ではなく、遠く東から来た異邦人であったと、マタイの福音書は記します。ヘロデ王に呼び集められた祭司長、学者たちは、直ちに、キリストの誕生の場所を、預言書から見つけ出すことができても、その出来事に応答する感性は欠如している有様を見るのです。

この世に生きているとき、その日常の常識が当たり前になっていて、その枠から外れることや、新しい生き方への踏み出すことに、大きな勇気が必要になることが多いのです。しかし、この東の星占いの学者たちは、捕囚の民が語り伝えた救い主メシアの誕生の出来事を、星の出現によって知り、すべての人の希望として、それぞれに、違った場所から出発してきたことを、聖書は記します。彼らは、日常を捨て、住み慣れた関係性をこえて、危険や不安が伴う旅に出てくることができたのでした。

星に導かれて、救い主メシアのおられる場所をようやく見出したとき、彼らは、非常に大きな喜びを得たのでした。その幼子を見、ひれ伏して礼拝し、宝の箱をあけて、黄金、乳香、没薬を贈り物として捧げたと言います。私たちもまた、日常を超えて、主に招かれ、主に出会うために、最高の喜びと捧げものを携えて、毎週の礼拝へと、出向いていきたいものです。