キリストの復活 2020年4月12日 イースター特別礼拝

聖書 コリント信徒への手紙一 15章12-17節

使徒パウロは、第二回伝道旅行で、アテネからコリントへと至り、約1年半の滞在で、コリントの教会を設立したと言われています。この町は、今も昔も商業的に重要な場所であり、様々な文化や習慣が影響して、他の教会とは比べようもないほどに問題をかかえていました。このコリントの信徒への手紙一は、第三伝道旅行の途上エフェソにて、この教会の諸問題に対してのアドバイスを記した書であると言えるのです。

パウロの教えによって、コリント教会の人々は、キリストが復活したことを信じる恵みを与えられていました。しかし、それを自分自身の死に至る罪が解放されて、永遠の命をいただく出来事としてとらえることに難しさを覚える人々がいたようです。一つには、主イエスが再び来てくださる約束が、なかなか実現しないで、肉体の死を迎えていく同胞が次々と起きてきたことも影響していたようです。またバプテスマを受けて聖霊をいただいたことで、すでに復活は起きていると宣言するような人々もいたようです。パウロ不在の中で、復活の信仰が揺さぶられるような様々な考え方が入り込んできたのでした。

現代社会に生きる私たちも、主イエスの十字架と復活の出来事をはるか昔の物語として受け止めていては、自分の信仰の出来事にはなっていかないのです。 特にこの感染症に直面して、世界中が不安や差別に揺さぶられているときこそ、信仰の土台が問われていきます。復活の主が今も生きて働いておられることは、科学的な根拠をもって証明することではありません。まさにそれぞれの信仰、すなわち何に信頼して生きているのかの問題となっていくのです。そこには、確実にひとり一人の実体験があり、気づきと喜びが伴うものなのでしょう。

パウロは、復活の主が自分の人生に介入し、大きく方向転換してくださったことを人々の前で何度も証していきました。 ですから、死者が復活しないなら、キリストも復活しなかったはず(⒖:16)と断言できたのです。