2022年7月24日 主日礼拝 慈しみはあなたのもとに

聖書 詩編62編11-13節

7月、8月を平和月間として平和宣言、正確には「平和に関する信仰的宣言」を、礼拝の中で交読文として用いています。この宣言が採択されてから20年、2019年に改訂がなされ、今日に至っています。この宣言について、「困難な時代の道標とするために」とNCC(*)議長鈴木怜子氏が寄稿してくださった文章を改めて読み直すとき、この世界が急激に軍事化へと進んでいることを思います。そしてキリスト者と言うだけでは、その人が何を信じ、どのような生き方をしているのかが分からない時代になってきました。

地震、感染症、戦争の相次ぐ報道の中で、わたしたちは不安感を抱き、確かなものを求めています。そして、誰もが希求している「平和」、「戦争反対」をもっともらしい理由をつけて賛成に転じてきた歴史を知っています。そのような中で、この宣言を交読することを選ぶということは、主イエスの十字架への徹底的な服従を示すということになります。この宣言の土台とした十戒には、神と人、また人と人との関係性の中に「命」を喜び、隣人の「いのち」を尊重する神からの生き方の指針が見いだされます。

詩編62編のこの箇所に注目したのは、この平和宣言の中に何度も登場する「暴力」「略奪」そして「富」に依存することを徹底的に否定しているからです。ここには「頼るな」「望みを置くな」そして「心を奪われるな」と厳しい言葉が続き、その先には神の報いがあるとまで語るのです。 この詩編の詠い手は神への個人的な信頼を証し、国際情勢の中で揺れ動く「民」にむかって神への立ちかえりこそが最善の道であることを示していきます。全ての慈しみ(ヘセド)は主なる神のものであると確信し続けることは難しいことです。希望をもって神の前に沈黙して生きることは、決して一人の信仰者でなしえることではありません。 だからこそ、私たちは、教会は共に歌い、共に愛と平和の主なる神を礼拝するのです。                     *NCC 日本キリスト教協議会